『ハンニバル』の再視聴感想。

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    1 year ago

    第1話「Apéritif(アペリティフ)」……食前酒。ここから始まるレクター博士の美しくも残酷なコース料理。ここから始まるウィルの儚くも凶暴な殺人衝動の協奏曲。北欧の至宝マッツ・ミケルセンといまいちマイナーなヒュー・ダンシーの演技力も素晴らしい。俳優さんもシナリオも演出もBGMもパーフェクトな作品だと思う。

    初っ端から殺人事件現場に呆然と佇むウィル・グレアム……飛ばしているなあと思います。第1話ではあの特徴的なOPはないけど、入りは本当に良い。

    観ていて思ったのは(以前書いたテキストを間違って削除してしまったからまた観直して書き直しだよこのやろう)、ウィルの運命を変えてしまったのは、ハンニバル・レクターではなくむしろジャックなのではないだろうかという事でした。ジャックがウィルをFBI捜査本部に引っ張り込んだ上に深入りさせたんだよね、アラーナはジャックを牽制していたのになあ。

    若い女性の連続行方不明事件に関わる羽目になったウィルは、プロファイリングで犯人の心理を探ってゆくのだけど、殺人者への理解力の高さはホッブス銃殺前から既に気質として持っている。満を持して協力者としてのレクター博士が登場するのだけど、あの素晴らしい書斎(カウンセリングルーム兼)に患者として居たのが開けてびっくりフランクリン。この人、第1話から登場していたのか。やっぱりあれだな、好きな作品を2周するのは気付きが多くて最高だ。そして、「ミネソタのモズ」事件発生。犯人は……いや、うん……。

    レクター博士がウィルに朝食の差し入れ(人肉ソーセージだと思われるものが含まれているのが気にかかる)(2週目万歳)。最初から妙に距離感が近い2人。この距離感のバグが、レクター博士にとっても想定外の事態であるのが、関係性の魅力の部分。

    金属片から女性連続行方不明事件の犯人をホッブスだと突き止めた辺りの、レクター博士がホッブス宅に「バレてる」と電話をかけた際のスマートな一連の動作が素晴らしい。指を折り曲げてボタンを押しつつティッシュで使って受話器を持っている……さすが防護服を纏った完璧な猟奇殺人犯(褒め言葉)。

    そして、ホッブスを射殺してしまうウィル。何度も何度も撃つ。ウィルの中に潜んでいた殺人衝動の発露シーン。アビゲイルを助けたのはレクター博士。と、ここまでがプロローグ。

    犬に囲まれているウィルの姿を改めて見ると、哀愁を感じる。ウィンストン(犬)、可愛いね……。